細菌の細胞集合体の研究 補足
パケット
球菌には規則的な配列を示す一群の細菌がある。サルシナ Sarcina(サルチナという人もいる)属である。 8個の球が各2個づつ3次元的に配列した形状、これをパケット packetと呼ぶ。
左に走査型電子顕微鏡写真を示した。
8個の球菌の塊が8個配列した(ような)集合体を作っている。
細胞分裂の同期性が少し悪いのと、電子顕微鏡撮影のための固定操作で配列が少し乱れている。
packetとは、手元の英和辞書には 1a (手紙などの)束 (bundle), ひとくくり(塊), 一群, 一回に配達される郵便物.
b 小包, 小荷物とあるが、pack 梱包(こんぽう)した包み,荷物,梱(こり)の指小形(指小辞、縮小語尾ともいう)であり、
主に郵便や運送関係で使用される用語である。細胞集合体の場合には小包の訳が良いと思う。
しかし現在の若い人達に小包と言って、正しくイメージが伝わるのか不安でもある。
現在の日本郵便(株)でも小包郵便物というカテゴリーは残っている。その内の一つてあるゆうパックや、民間事業者の宅配便が席巻し、我々世代以上や一部の実際使用している人達を除いて、小包を知らない可能性もある。さらに、現在はこうした荷物を段ボール箱で送るのが一般的であり、その形状は直方体であることが多い。一方、昭和30年代頃までは厚紙あるいは大風呂敷などで包み、紐で十字にきつく縛ることが良く行われていた。
3次元の各面で十字に結ぶと、(さいころの8個の角に相当する)8個の膨らみが張り出して、球が8個正しく配列した形に近くなる。
欧米でも昔の小包はそのような形が多かったそうだ。そのために、サルシナ属細菌が形成する集合体をpacketと読んでいた。
もう少し大きなパケット型の細胞集合体の写真は、最終セミナーのサムネイル 下方の写真を参照ください。
または この画像
Sarcinaの名はラテン語の bundleに由来し、よって、サルシナ属の細菌を八連球菌とする研究者もいる。 イタリアの中央部にSarcinaと、全く同名・同綴の自治体があるが、その名の由来について私は知らない。
卵割
卵割とは 受精卵が初めて細胞分裂する時から引き続き起こす数回の細胞分裂の過程であり(通常、桑実期までをいう)、その間、
細胞は成長せず(あくまで見かけ上のことで、全体としての質量増加がほとんど無いという意味)、また嬢細胞(卵割の場合、割球という)間で同調的な分裂が起こり、
少なくとも8細胞期までは前回の細胞分裂面に直交する面で分裂する。
ただし、一部の生物種では必ずしも直交しない。これをらせん分割という。
卵割では、第1分裂面、第2分裂面と呼び、ここに上下前後左右を使うことは稀である。