空間と時間を表す用語
NHK番組 「チコちゃんに叱られる」でのテーマ 鏡はなぜ左右逆に映る?の回答を求めて、 3次元空間の基本軸である 上下・前後・左右の説明をし、その上で鏡像における左右を説明し、さらには医療現場における左右の問題にも触れた。このページでは、こうした空間と時間の日本語表現を英語の表現と比較して、日本人と欧米人の感覚・認識の違いを指摘したい。数学における空間の表現
一段と抽象化された概念を扱う数学では空間をどのように表現するのか? そこでは、上下も前後も、まして左右も(基本的には)用いない。 x軸、y軸、z軸で表し、方向は全くの任意である。平面は x-y平面、y-z平面、z-x平面で表し、時に-ハイフンも抜かれることがある。 x, y, zのアルファベットの使用、あるいは、x軸を横方向(さらには右に増大する向きに)用いるのは慣用に過ぎず、 どちらの方きでも、「それぞれが直交する」という条件を満たす限り、本質的な問題ではない。
数学における空間の英語表現を先出ししておく。
軸 axis 複数形 axes
平面 plane
どちらも加算名詞 countable nounであるから単数形は通常冠詞を伴うことに注意。よって、初出に丁寧に説明しておけば、以降the
axisと簡略化できるのは英語の良いところだ。なお、以下の説明では冠詞を省いてあるので注意。
axisの由来は、回転の中心 つまり回転軸に由来している。
一方、planeは、
手元の英英辞典では、数学的な意味での平面を第一義としているが、おそらくは第二義として記載されている水平面(今日では区別するために
horizontal planeという) に由来するのだろう。しかしもう少し語源的に言えば、今日でイメージする平面というよりは、
(でこぼこの無い)平坦でかつある程度の広がりを持つ物あるいはその形状 を表現する用語ではなかろうか。現代社会には多くの平面があふれている。
しかし言葉が生まれ育ってきた大古に、それなりの広がり(面積)を持つ平面は 海、湖、池、水たまり の表面に限られたであろう。
したがって、その用語の概念を最も表わしているのは水面、また自然界の水面であるから水平面となる。
いくつかの辞書ではplaneの説明に 飛行機 を充てている。また別の辞書では(語源的に分けた)別用語としている場合も見られる。 しかし、これはairplaneの省略形であり、空中を水平に飛ぶ物体、あるいは翼を広げた格好から、浮かぶ平面というようなイメージでそう呼ばれるようになったのではなかろうか 。現代では、一般的な欧米人がplaneと聞くとairplaneを思うのかもしれない。数学を思い浮かべるよりは。
空間を表わす用語における日本語と英語の相違について、説明したい多くのことが未だ残っている。とりあえずここまでにして、残りは別ぺージとする。